家計講座

「どうして103万円? ~所得税と配偶者控除の仕組み~」

PHM12_0595セミナーなどで皆さまからお問合せが一番多いのが「103万・130万円の壁」。やはり、主婦が働きはじめるときに一番気になるところです。ということで、今回は所得税のおさらいと、配偶者控除について更に詳しくご紹介します。

税金のおさらい

税金とひとくちでいっても色々なものがありますね。
物を買ったら消費税、お酒を買ったら酒税、財産を相続したら相続税ですし、車を所有していたら自動車税、家や土地などを保有していたら固定資産税……。 本当に色々な種類のものがありますね。 もちろん、なんらかの「所得」に対しても税金がかかります。所得税ですね。

所得税とは?

「所得税」は様々な所得に対して税金がかかります。
サラリーマン、公務員、パートなどの人が得る給料やボーナス、各種手当てなどは給与所得として所得税の対象です。
他にも、家などを貸して得られる家賃などは不動産所得、農業や商店、SOHOなどの個人事業の所得は事業所得、退職金などの退職所得などが所得税の対象となります。

これらの所得を全て合計して課税されるのが「所得税」です(一部、合算されない所得あり 例]株式の譲渡所得)。
そして、所得控除~税金の割引パスポート~でもご紹介したように、それぞれの事情によって、控除(割引パスポート)しようというのが、所得控除でした。この所得控除の中に配偶者控除が含まれるのです。

配偶者控除とは?

配偶者控除が受けれる人を確認しますね。
その年の12月31日の時点で次の4つの条件すべてに当てはまる人です。

1)配偶者。(内縁関係の人はだめ)
2)納税者と生計を一にしていること。
3)年間の合計所得金額が38万円以下であること。
4)原則として青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

要は、サラリーマンの妻であれば、3)以外の条件はあてはまるということですね。 (ご主人が自営業の方は税理士さんに確認してみてください)
では、3)のほうをみてみましょう。

「所得が38万円以下」となっていますね。ちょっと待って!103万円ではなかったでしたっけ……??
答えは、給与所得控除

事業などをしていると必要経費が認められ、収入から差し引かれて所得が計算されます。これをサラリーマンやパートにあてはめたのが「給与所得控除」です。
やはり、働きに出るとなると、何かとお金がかかります。それらを個々に計算していられないので、一律に控除額を決めようというものです。

給与所得控除の額は給与の額に応じて決められ、最低でも650,000円が認められます。
なので、65万円の給与をもらった人は、【65万-給与所得控除額(65万)】となり所得は0円。
逆に所得が38万円となるには、【38万+給与所得控除額(65万)】となり給与が103万円となります。これが「103万円の壁」ですね。

配偶者控除の額

一般の配偶者控除の額は、38万円。
この38万円が、ご主人の所得から控除され税金が計算されます。
例えば、課税される所得金額が330万円を超え695万円以下の世帯では(所得の20%の税金がかかるため、つまり38万×20%)7万6千円が配偶者控除によって税金が安くなるということです。

また配偶者特別控除といのもありますよ。「配偶者特別控除」は「配偶者控除」が受けれなくても、ある基準までは段階的に控除しようというものです。
控除を受ける人(ご主人)の合計所得金額が1千万円以下という条件がつきますが、その他は配偶者控除と同じです。

この「配偶者特別控除」は、所得が38万円から76万円未満まで段階的に控除が受けれます。
所得が76万円未満ということは、お給料は【76万+給与所得控除額(65万)】で141万円。下表のように、お給料が141万円までは段階的に控除が受けれるということです。
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今までの例は、全て配偶者がパートなどで働きお給料をもらう場合ですよ。
SOHOやショップ経営など自営業として働かれる方は、給与所得控除はありませんので、所得額38万円までが配偶者控除、76万円までが配偶者特別控除となりますよ!お間違えのないように!

いかがでしたか?所得税と配偶者控除を詳しくご紹介しました。
どうして、103万円という額が出てきたか?おわかりいただけましたか?

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